眼科医師として、眼の機能や病気に関しても今後書いていこうと思います。

今回はまず基礎となる、目の構造に関して簡単に。

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眼の構造物の名称と機能

 

眼球は直径24mm程度のほぼ球形であり、外側から外膜(角膜・強膜)、中膜(虹彩・毛様体・脈絡膜=ぶどう膜)、内膜(網膜)、眼内容物(硝子体・房水・水晶体・チン小帯)といった構造物から構成されています。

 

強膜

眼の構造(球体)を維持する上で大事な、一番外側の固い、白い組織です。眼の前方(角膜)以外の部位で眼球全体を覆っています。外傷(目をぶつけたり、木の枝などが刺さったり)などで強膜が貫通し、目の中と交通すると「眼球破裂」と言い、傷の大きさなどにも依りますが、目の内容物が出てきてしまうことがあり、かなり危険です。たまにニュースでもやっていますが、ボールなどが目に当たっても起こることがあります。また、眼を動かすための筋肉(外眼筋)が付着している層でもあります。

 

脈絡膜

強膜の一つ内側にある層で、血管が豊富で茶色の色素(メラニン)が豊富な組織です。血管が豊富であることから目の中の栄養の一部を担っている部位です。色素の層であるため、人種により濃さが異なります。白人は色が薄く、そのため虹彩が青白い色をしています(虹彩・脈絡膜・毛様体を合わせてぶどう膜と呼びます)。ベーチェット病・サルコイドーシス・原田病(VKH)は三大ぶどう膜炎と呼ばれる病気です。

 

網膜

目を囲む組織の中で一番内側の層で、”視機能”を司る神経細胞が存在する組織です。”見る”という役割の一部を果たしているところで、そこでの情報が視神経の束になり、脳に送られ、後頭部の辺りの脳(後頭葉)で見ています。見えている視界の中心は、網膜でいう黄斑部にあたり、黄斑部にはたくさんの視細胞が集まっています。視細胞には色を感じる錐体細胞と、明るさを感じる桿体細胞があります。夜空で見えるか見えないかの星を真正面で見ると見えなくなるってしまうが、ちょっと視線を外すと見えるようになるのは、光の明るさを感知する桿体細胞が網膜の中心には少ないためです。

 

角膜

光が入る最初の層です。角膜と水晶体で主に光を屈折させ、網膜に像を移すことで視界情報が入ってきます。そのため、ここに傷があると視力は低下するし、角膜が綺麗な球面をしていないと乱視といって矯正しないと見えにくい状態になります。コンタクトレンズを乗せる部位であり、レーシック手術はこの部位をレーザーで薄くすることで屈折を弱めて近視を直す手術になります。角膜の内側の細胞は再生しないため、そこに障害を受け視力が出なくなった場合は、角膜移植しか治療法がありません。

 

結膜

イラストにはないですが、目の前半分の強膜の外側を覆っている薄い膜です。アレルギー性結膜炎など、目の充血に関して多くはこの部分が関与します。ちょっとした刺激や眼の手術後などで充血し、見た目上かなり驚くのですが、基本的には自然に吸収されるため問題はありません。

 

虹彩

目の内部に入る光量を調節する部位で、瞳の大きさを司る部位です。暗所で虹彩が開くことで瞳が大きくなり、明所では虹彩が小さくなり目の中に入る光を少なくします。明所すなわち交感神経優位の状態で瞳孔括約筋が、暗所すなわち副交感神経優位の状態で瞳孔散大筋が収縮して、それぞれ瞳孔が小さく、大きくなります。

 

水晶体

角膜と共に屈折を扱う部位で、光を集光させ網膜に像を移すために大事な役割をしています。水晶体が厚くなったり薄くなることで、ピントの調節をし、それぞれ近く・遠くを見えるようにしています。白内障はこの水晶体が濁ってしまう病気です。多くは加齢が原因で、歳を重ねると誰もがなる病気です。

 

チン氏帯

「ちんしたい」もしくは「ちんしょうたい(チン小帯)」と呼びます。水晶体を支える組織で、水晶体と毛様体にくっついています。近くを見るときはチン小体が緩むことで水晶体が厚くなり屈折率を強めることで近くが見えます。逆に遠くを見るときはチン小体が縮む(水晶体を引っ張る)ことで水晶体が薄くなり、屈折率が弱い状態になります。この部分が弱いと、水晶体脱臼などを起こしたり、白内障の手術の難易度が上がります。

 

毛様体

眼内は絶えず水が循環しているのですが、その水(房水)を産生している組織です。房水は角膜と虹彩の角である”隅角”に向かって流れ、隅角にある繊維柱帯(網のようなもの)を通ってシュレム管という管に流れ、静脈に還流します。

 

硝子体

「しょうしたい」と読みます。水晶体後方にある、透明なジェル状の組織です。卵の白身みたいな感じに思えばokです。硝子体は網膜に付着しており、その関係でその付着が剥がれた際、飛蚊症を感じたり、付着が強い状態で剥がれると網膜剥離などを起こすことがあります。

 

黄斑

網膜のある一定領域内のことを指す言葉であり、視野の中央に位置する場所です。見たいものを一番はっきり見える位置であり、視細胞である錐体細胞が密に存在しています。黄斑は構造上イラストのように凹んでおり、そこに硝子体がくっついていることなどの影響もあり、病気が生じやすい部位でもあります。視野の中央に当たる部位であり、視力に大きく関係しているため、治療にしても手術にしても気を付けて操作する部位になります。

 

その他の構造物

イラストに描いていない眼構成器、眼付属器として他に

  • 隅角、繊維柱帯、シュレム管
  • 視神経乳頭
  • 眼瞼(まぶた)
  • 涙器(涙腺、涙道、鼻涙管、マイボーム腺)

などがあります。

いずれそれぞれの構造物に関する詳細(機能、正常、病気、治療)なども書いていこうと思います。今回はこの辺りで。