糖尿病(diabetes mellitus : DM )の合併症に関する基礎知識を述べていきます。

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糖尿病とは

インスリンの作用の絶対的不足(1型糖尿病)もしくは相対的不足、インスリン抵抗性(2型糖尿病)によって引き起こされる種々の代謝異常をきたす疾患です。

1型と2型は原因が異なり、1型は生まれつき持ってのもの、原因が解らないものであり10万人に2-3人程度と言われています。

ということは、ほとんどの患者は2型であり、一般に糖尿病というと2型糖尿病のことを言います。

糖尿病で困ること

2型糖尿病であれば、経過は基本的にゆっくり、慢性的です。なので目立った症状はないのですが、普段の血糖値がかなり高い状態になると、口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感などの症状が出ます。

糖尿病自体で物凄く困るっていうことは、あまりありません。

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本当に怖いのは合併症

血糖値が高い状態が続くと、体全身の血管が障害を受けていきます。太い血管も、細い血管もです。

糖尿病で本当に怖いのは、この血管障害から来る合併症になります。

糖尿病性網膜症

糖尿病発症5年で5-20%に出現し、10年で20-60%、20年以上で40-80%にみられます。

糖尿病性網膜症は、失明の原因の2位です。(1位は緑内障)

目の奥の網膜の細い血管が脆くなり、血管内容物の漏出(硬性白斑)や出血、視神経の虚血(軟性白斑)を起こし、血液が還流されなくなった場所(無血管野)に、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)の作用で脆弱な新生血管が生じ、その脆い血管は眼の内部(硝子体)に伸びていきます。その血管が破綻することで硝子体出血という状態になり、視界が真っ赤になります。

硝子体出血自体は手術で綺麗になりますが、ダメージを受けた網膜はもとには戻りません。また、糖尿病網膜症の状態が悪いと、続発性に緑内障を発症し、これが失明原因となります。

他の合併症より初期に出現することが多いです。

糖尿病網膜症は自覚症状のないまま進行しますので、診断されたら定期的に眼科をした方が良いです。

糖尿病性腎症

透析を受けている人の原因の第1位です。

こちらも腎臓の血管が破綻することにより、生じます。腎臓は血液をキレイな状態に保つために必須な臓器で、腎不全に陥ると血液内に不要な成分・毒素が貯まり、最終的に死に至ります。従って腎臓の代わりの役目となる、透析が必要となります。

透析患者がどのような生活を送っているか。週に3回程度、病院・クリニックに通院して、1回辺り4時間程度の時間を透析に回さないといけません。透析用に人工的に作った巨大な血管に、毎回針を刺して血液の浄化を行うためにベッドに横になっている、という状態です。

糖尿病性神経症

こちらも同じく血管障害が原因です。神経を栄養している血管が悪くなることで、感覚の異常(しびれ、無感覚)を生じます。主に末梢の細い血管の血流が悪くなることで、手足にしびれが出たり、知覚異常を起こします。

以下にも書いている”下肢壊疽”は、糖尿病による感覚障害により、足が痛み・感覚を感じなくなることで気付かないうちに傷口がどんどん悪化していきます。

他の血管障害

脳血管障害、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症、下肢壊疽、動眼神経麻痺など

 

基本的に高血糖により全身の血管が障害されていくので、3大合併症以外にも、脳の血管や心臓の血管などにも影響が出てきます。脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などが起これば、最悪死に至りますし、そうでなくても半身マヒや後遺症が残る可能性は十分にあります。

糖尿病の状態の指標

HbA1cが最も一般的に使われています。”ヘモグロビンエイワンシー”と読みます。

患者さんでよく”ヘモグロビン”と略す人がいますが、ヘモグロビンだけだと貧血の指標となるHb(ヘモグロビン)のことを指します。医療従事者は、患者が”ヘモグロビン”と言ったときにはA1cの可能性もあることを頭に入れておきましょう。ちなみに医療人は略すなら”エイワンシー”と言います。

HbA1cは数カ月分の血糖値の平均のような指標で、最近数カ月の血糖コントロールがどうであったのかが数値を見るだけでわかります。

正常値はHbA1c < 6.5% とされています。血糖値としては空腹時100前後であれば良い値です。

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まとめ

  • 糖尿病は失明原因の第2位
  • 糖尿病は透析導入原因の第1位
  • 糖尿病は自覚のないまま進行するので定期受診を

このように糖尿病はいろんな部位・臓器の合併症を引き起こす恐ろしい病気です。また、糖尿病自体では検査結果の数値以外には自覚症状もないので、危機感がないのもこの病気の嫌なところです。

糖尿病は糖尿病を直す糖尿病科・内分泌代謝内科などのほかに、眼科との連携がとても大事になってきます。眼の自覚症状がなく、気付いたときには見えなくなっているからです。治療により悪化を食い止めることはできますが、完全に元の状態に戻すことはできません!

なので、糖尿病治療中で眼科受診されていない方はまずは一度眼科受診をしてみてください。